東京電設サービス株式会社

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ケーブル事故・故障原因調査とは

電力機器に接続されているCVケーブルは、布設環境や長期間の運転により絶縁材料の熱酸化劣化や水トリー劣化が進行していき、そのまま放置するとケーブル地絡事故を引き起こします。

当社は、長年にわたる東京電力との共同研究で培ったノウハウと他電力や民需のお客様との実績をもとに、CVケーブルはもとより,OFケーブルやこれらの接続部について、独自の分析診断技術により構造調査・解体調査・各種分析を行い、総合的にケーブル事故の原因調査を実施いたします。

一般的なケーブル劣化診断との違い

一般的に電力ケーブルの劣化診断と言えば、直流漏れ電流法や、活線で診断できる交流重畳法など、電気的な試験による診断が行われます。当社でも同様の劣化診断を実施しており、ケーブルの健全性評価には有効と考えています。しかし、劣化原因を特定するためには、さらに踏み込んだ化学分析によるアプローチが必要であり、それが本質的な予防保全方策につながると考えます。

 

化学分析による劣化診断とは、絶縁破壊を起こしたケーブルの絶縁材料を化学的に分析することで事故原因を特定し、今後の保全方策に反映できる当社独自の技術です。

 

直流漏れ電流法などの電気的な試験では、ケーブル自体の健全性は評価できるものの、製造時の不具合や布設環境・運用方法等の使用環境による絶縁材料の劣化や異常を評価することはできません。このため、劣化状況や事故原因を特定しないまま引き替えを行うことは、同種の事故が再発する可能性を残すことになります。

 

化学分析による劣化診断では、絶縁破壊に至った絶縁材料の劣化プロセスを解明することから、単なるケーブルの引き替えで済むのか、ケーブルの布設環境や運用を改善する必要があるのか、さらには隣接する同種のケーブルも早急に引き替える必要があるのか等を判断し、根本的な解決に繋がる予防保全方策のご提案ができます。また、劣化状態を把握することで、布設環境における余寿命を考慮した更新計画にも反映することができます。

当社による事故原因調査のメリット

  • 1

    豊富な知見と独自技術により原因を解明

    東京電力管内の電力ケーブル異常や事故の分析調査を10年以上にわたり培ってきたノウハウがあるだけでなく、電気設備の豊富な保守経験のある技術者が化学分析に携わっているため、化学分析結果が示す情報を現場の事象とリンクさせ、事故原因の究明や劣化診断を行うことができます。
     ・長年の保守経験で培った経験により、電線メーカー別・年代別・種別別にケーブルの知見をデータベース化しています。
     ・東京電力と共同開発した分析診断方法(※)を用いた独自の技術で、信頼度の高い診断が可能です。

    ※「ケーブルの絶縁劣化寿命診断方法(特許第3970199号)、「水トリー中のイオン分析方法」(特許第4956322
     号)、「EPRテープの酸化劣化診断法(特許出願中)、「ICP診断法」(特許出願中)

  • 2

    同様の事故の再発を未然に防止

    周辺環境や運転状況に起因したケーブル事故の場合、引替工事を行っても、すぐに同様の事故が発生する可能性があります。
    当社は、現場調査や化学分析を通じて真の事故原因を究明し、引替工事以外の必要な対策をご提案することで、同様の事故の再発を未然に防ぎます。

  • 3

    更新計画(引替インターバル)の明示

    事故原因調査では、当社独自の寿命診断技術を用い、ケーブルの寿命で絶縁破壊をしたのか、周辺環境や運転状況により絶縁破壊をしたのかを究明します。
    絶縁破壊の原因がケーブルの寿命だった場合、その布設環境における寿命が特定されることで、次回の更新計画(引替インターバル)の目安がわかります。

主な分析・測定内容

  • ケーブル解体調査、不明油調査、顕微鏡観察(光学・電子顕微鏡)
  • 化学物分析(FT-IR・ラマン)、元素分析(XRF・SEMEDX・ICPOES)、熱分析(DSC・熱天秤)
  • 機械特性試験(引張)、電気特性試験(AC・Imp 破壊・体積抵抗・tanδ測定)、燃焼試験(酸素指数)、水分量測定(カールフィッシャー)

CVケーブルの劣化現象

水トリー劣化

水の浸入により,異物や突起を起点に発生する劣化現象で、CVケーブルの代表的な絶縁破壊に至る劣化現象です。

水トリー劣化は,水の供給,高い電位傾度,高い周波数の電圧印加及び高い周囲温度により促進されます。

TDSでは東電管内設備の水トリー調査を10年以上行っており,その蓄積データを踏まえた調査が可能です。

熱劣化(酸化劣化)

負荷の使用で導体温度が高い場合,熱と酸素により絶縁体は酸化劣化し,絶縁破壊に至ります。

  • 事故ケーブル状況 (遮蔽銅テープに緑青が出ている)

  • 絶縁体断面 (絶縁体破壊箇所付近)

  • 絶縁体断面 (健全相)

TDSは,このメカニズム解明と絶縁破壊事例を論文で報告しています。

ご依頼から結果報告まで(約1ヶ月程度)

  • STEP.1

    ケーブル事故 発生!

  • STEP.2

    現地確認、試料採取

  • STEP.3

    解体調査

  • STEP.4

    熱履歴・ 酸化劣化調査

  • STEP.5

    顕微鏡観察

  • STEP.6

    詳細調査

    ・元素分析(電子顕微鏡)
    ・元素分析(蛍光X線分析装置)
    ・化合物分析(顕微FT-IR)
    ・化合物分析(FT-IR)

  • STEP.7

    結果報告、異常原因推定

OFケーブルの劣化現象

課電劣化現象

課電劣化は,30~40年かけて絶縁紙上に硫化銅等の銅化合物が生成堆積し,運転電界下で課電劣化(絶縁紙の黒色化)し絶縁破壊に至る劣化現象です。

  • STEP.1

    劣化前

  • STEP.2

    銅化合物溶出

    導体から絶縁油へ銅化合物の溶出 ⇒ 銅濃度上昇

  • STEP.3

    誘電泳動による凝縮

    誘電泳動などによる銅の凝集 ⇒ 銅濃度は低下

  • STEP.4

    PD発生

    部分放電が散発的に発生

  • STEP.5

    PDによるワックス化

    部分放電により絶縁紙がワックス化

  • STEP.6

    銅凝縮・部分放電頻発

    銅の凝集により部分放電が頻繁に発生 ⇒ 絶縁破壊

実際の事故ケーブルの写真

解体前

解体後(黒色化=硫化銅等の銅化合物)

TDSでは新たなOFケーブルの劣化現象として,その劣化メカニズムを東電との共同研究により解明しました。

動画

受賞実績

・2007年下期東京電力社長表彰優良賞受賞
・2013年電気学会優秀論文賞受賞
・2017年第65回電気科学技術奨励賞受賞(旧オーム技術賞)

その他

・新電気(オーム社)2019年3月号掲載
・その他電気学会へ多数の論文投稿

特許

・「ケーブルの絶縁劣化寿命診断方法(特許第3970199号)」
・「水トリー中のイオン分析方法(特許49563222号)」
・「EPRテープの酸化劣化診断法(特許出願中)」
・「ICP診断法(特許出願中)」

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