東京電設サービス株式会社

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蓄電池の劣化診断技術とは

当社の蓄電池劣化診断は、お客さま設備を停止することなく、全セルに対して各セル単位に「内部抵抗」「起電力」「実容量」の評価ができます。

各セル単位で健全性の良否判定を確認できるため、実容量が低下したセルだけを交換することが可能となり、設備全体の延命化が図れ、コストダウンと信頼度向上を実現します。

一般的な蓄電池診断の課題

一般的な蓄電池点検では、
①外観点検、②浮動電圧測定、③比重測定、④内部抵抗測定
が行われますが、実はこれらの点検では現状の蓄電池の実力に相当する「実容量」については把握できません。そのため、容量が100Ahの蓄電池でも、停電時に10Aで10時間持たない事例が多数発生しています。

これらの主な原因として、浮動電圧測定は、充電器側の電圧をセル毎に分けて測定しているにすぎず、また内部抵抗測定では、交流高周波電源による測定のため、放電時の実抵抗値を正確に測定出来ていない等が考えられます。

①外観点検

変形・変色・亀裂・液漏れなど外観確認

極板・セパレーター・接続部等の内部状態は不明?

②浮動電圧測定

充電器出力電圧の各セル分担電圧測定

蓄電池各セルの起電力は不明?

③比重測定

希硫酸の上澄みの比重を測定
上下で比重(電解液濃度)が異なる

下部の電解液濃度不明?
起電力も不明?

 

電極が正常:比重と起電力は比例
電極が異常:比重と起電力は比例しない

④内部抵抗測定

交流高周波電源(0.15A)による抵抗測定
交流0.15Aでの抵抗値測定(定格電流通電してない)高周波電流測定によりキャパシタンスの影響大

放電時の実抵抗は不明?

(負荷電流発生時の実抵抗)

  • 以上のことから一般的な蓄電池点検では、実容量が低下したセルを特定することができないため、ほとんどの蓄電池が十分に使える状態であるにもかかわらず、定期的に全セル交換を実施しているのが実状です。

  • 一方、「実容量」を評価する手法としては、10時間率実容量試験がありますが、個別にセルを取り外し10時間の放電試験をするため、設備停止が必要となり、セルの運搬・長時間施工・抜取試験(全セル試験は莫大な費用と時間がかかるため)による信頼性低下など、実施するには課題があります。

蓄電池劣化診断の概要

  • 当社では、蓄電池短時間容量試験器を用いて、短時間で高精度に蓄電池の実容量診断を行います。
    短時間容量試験は、無停電で実施が可能な上、0.5秒の放電特性と回復電圧を収集することで簡単で明確に蓄電池の実容量を評価しますので、信頼性のあるトレンド管理が可能です。また、全セルを各セル単位で診断でき、蓄電池の更新サイクルをセル単位で最適化できることから、従来の容量試験に比べて設備信頼度の向上が図れる上、設備投資の抑制によるコスト削減も実現します。
    ※測定対象の蓄電池は、鉛蓄電池(MSE、CS、HS型など)とアルカリ蓄電池(AH、AHH型など)に限ります。

    短時間で実容量を測定できるメカニズム

  • 左:電圧検出プローブ 上:測定器本体 右:電流プローブ

  • 蓄電池短時間容量測定の流れ

短時間実容量試験のメリット

  • Point1

    通常運転状態でセル単位での実容量試験が可能

  • Point2

    セル単位の起電力と実容量評価が可能

  • Point3

    実容量評価に基づくセル単位の更新・延命化が可能

  • Point4

    蓄電池取り換え工事延期・省略運用が可能

  • Point5

    セル単位の保全運用でトータルコストダウンが可能

  • Point6

    非常事態の蓄電池設備信頼度を数値化評価できる

  • Point7

    短時間実容量試験は寿命に影響しない

実フィールドにて実証済!

経年10年から毎年短時間容量試験を実施し10年間継続しても寿命に影響なし!

実例:CS蓄電池12年~15年(メーカ推奨定期交換)を20~25年継続使用(約20,000セル)

短時間で実容量を測定できるメカニズム

短時間容量試験による実容量測定の仕組みは、0.5秒間放電した時の放電曲線を前述した「10時間率実容量試験」における実容量100%の放電曲線(正確には30分放電曲線)と近似させ、実容量(=0.5秒後電圧)を測定します。(下図C点)
起電力は、0.55秒後の回復電圧特性により測定し(下図D点)、内部抵抗は実放電した際に同時に測定いたします。

短時間による測定方法の信頼性については、実容量と短時間容量試験の相関係数がMSE蓄電池で「0.97」、CS蓄電池で「0.96」と、高い相関性があることを確認しており、東京電力パワーグリッド株式会社でも採用されている信頼度の高い試験方法です。

蓄電池短時間容量測定の流れ

  • STEP.1

    蓄電池各セル

    蓄電池全セルを測定します。

  • STEP.2

    試験装置

    対象セルのバッテリーを電源とし、実容量を測定します。

  • STEP.3

    試験線接続状況

    電圧プローブ・電流プローブにて測定。

  • STEP.4

    試験

    1セル毎に0.5秒間1C電流を放電させ実容量を測定します。
    (例:型式CS-100の蓄電池であれば1C=100A)

  • STEP.5

    測定曲線

    放電曲線をわかりやすくグラフ化。2セルの同時比較も可能。
    0.5秒の放電特性と0.55秒の回復電圧特性を自動計算することで、蓄電池を評価するための起電力・内部抵抗値を同時に測定します。
    又、1秒間に21ポイントの端子電圧を測定し、グラフ化しています。

  • STEP.6

    各セル単位で一括表示

    診断結果は、右図のように全セルの状態をグラフで示すことにより、「バラつきの有無」「実容量の確認」「1セル単位の健全性の確認」など、実容量レベルの数値管理と取替対象セルが一目で確認できるようになっています。

    ※左図の№34では、内部抵抗が正常値でも起電力、実容量が低下しているセルもあるため、内部抵抗と起電力の両方の健全性を確認する必要があります。